出典:我が人生

あるトランスジェンダー東大生のレポート

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2017/10/07(土) LGBT世代間懇話会@東大駒場キャンパス

こんにちは。シンです。

今回は10/7(土)に行われたLGBT世代間懇話会について書きます~

 

みなさんは府中青年の家事件をご存じですか?

めちゃくちゃ短く説明すると、1989年、「動くゲイとレズビアンの会」、通称「アカー」が東京都の施設である府中青年の家を使用した際に、他の利用客から嫌がらせを受けました。

それに抗議しても全く取りあってもらえず、最終的にアカーの方が「青少年の健全な育成にとって、正しいとはいえない影響を与える」として青年の家の利用を禁止されるという事態になり、それは不当なものとしてアカーが裁判を起こしました、というのが大体の流れです(詳しくはWikipediaとか見てください)。 

 

この事件は最終的に原告側(アカー)の勝訴で終わり、社会的に同性愛者への理解が進む一つの転換期となりました。

この判決が出たのが1997年、今からちょうど20年前です。

 

現在40代以上の方々はきっと、リアルタイムでこの事件を見聞きして、ヒヤヒヤしていたのでしょう。勝訴を聞いたときは嬉しかったのでしょう。

しかし、今の若者は全然知らないのです。へたすりゃ生まれてないですから。

かくいう自分も大学のジェンダー論を受講するまで全く知りませんでした。

 

そういう歴史も知りたいよね!それに今のセクマイ周りの環境だと、同年代とは会えても、世代の違う人の話ってあんまり聞く機会ないよね!ということで我らがTOPIAの偉大なる先輩、むとうさんが企画したのが今回の企画です。駒場の坂口先生にもたくさんご協力いただきました。

 

結局、府中青年の家事件にフォーカスを当てるのではなく、ここ20年ほどの動向を人生の先輩方にお話ししていただく形となりました。

ここ20年でセクマイ界隈はめまぐるしく動いているからね。

 

パネルディスカッションのスピーカーは

すこたんソーシャルサービス代表の伊藤悟さん・簗瀬竜太さん

セクシュアルマイノリティのためのスペース LOUD代表の大江千束さん

NPO法人SHIP理事長の星野慎二さん

の3名でした。

 

以下、パネルディスカッションの内容!

 

すこたんのお二人はメディアについてのお話が多かったですね。

1994年に電波少年という番組のアポなし企画で、「ゲイカップルは子供ができなくてかわいそうだから一晩子供になってあげよう」という主旨でいきなり幼稚園児の格好をした芸能人がやってくるというバラエティというかホラーな、なんとも迷惑な事件があったそうです。ちなみにこれ、伊藤さんの実体験とのことです。お気の毒に・・・

90年代のメディアは今と違ってひどいな、と言いたいところですが、2017年現在も保毛尾田保毛男事件があったし、まだまだ発展途上です。

 保毛尾田保毛男事件についても話題に上がり、伊藤さんが「保毛尾田保毛男はゲイをバカにしていること自体が問題だが、それを見た人がゲイをバカにしていいものだと思ってしまうことも問題」とおっしゃっていたのが印象的でした。わかりやすい。

 

あと簗瀬さんが救急車で運ばれたときの話。

同性カップルだと法的に家族とみなされないから病状の説明とか一緒に聞けないし、本人が意識不明などの際、手術の同意書にサインすることもできないという問題があります。また、もし亡くなってしまったら遺産相続の権利もない訳です。

このような状況は同性婚の必要性を語るときに持ち出される話ですね。

 

大江さんは政治・行政面のお話が多かったですかね。

今は保守系の政党が強いから国政主体で物事が動かなそうなのはつらいところです。

あと大江さんは心に響く名言があったのですが、それはまたあとで別の記事にします。

 

星野さんのお話では、2000年に起きた新木場殺人事件の話が出てきました。

新木場事件、今回初めて知りました。

 

新木場殺人事件概要

2000年2月11日に起きた東京都江東区新木場駅前の「都立夢の島緑道公園」内で、「ホモ狩り」が起き、33歳の男性が死亡した事件。犯人グループは公園に集まるゲイを狙い襲撃を繰り返していた。 

 

被害者の方は実名とゲイであることが公表されてしまったとのことです。完全なるアウティングですね。その結果、被害者の方の母親は肩身の狭い思いをしたそうです。なんで息子殺されていて肩身の狭い思いをしなくてはいけないんだ?

・・・この事件、17年前なんですよね。結構最近。

 

あとは教育系のお話が多かったと思います。

セクマイ関連を教育で取り上げるとなると、保健体育か社会科になるんですが、社会科の方がウケがいいとのこと。性教育と人権問題だと、人権問題という看板の方が受け入れやすいのでしょう。この辺は2000年代に起こった性教育バッシングとも関連する話です。性教育はセクマイ関連のみならずもっと細かく具体的に教えた方がいいのになあ。むしろ異性愛カップルの方が相手の体への無理解でトラブルになったりしやすそう。

 

他にもたくさん面白い話あったんですが、スタッフの仕事しててメモ取れなかったんですよね。

スタッフの仕事もいい経験で楽しかったです。

 

総じて感じられたのは、みなさん差別と偏見の中を戦い抜いてきたんだな、と。今もまだまだだけど、やっぱり昔は差別と偏見がより激しかったんだと思いました。

 

昔は講演会を開催しても、質問タイムで暴言が飛んできたり、活動するための場所を借りようとしたら不動産屋が貸してくれなかったり、嫌がらせで通報されたり大変だったとのこと。いちいち心が折れそうです。

 

自分の歩んできた道はでこぼこしてて歩きにくいと思っていたけれど、それはかつて先人達が道ですらなかったところを歩いた跡なんだな、と思いました。

 

これから先、後輩達がもっと歩きやすくなるように自分も頑張りたいです。

 

スピーカーの皆様、お話ありがとうございました!

坂口先生とむとうさん、企画ありがとうございました!

 

シン