出典:我が人生

あるトランスジェンダー東大生のレポート

移転しました。

約3秒後に自動的にリダイレクトします。

性自認に見合う通称名の使用 in 東京大学

こんにちは。シンです。
今回はタイトルにもあるように性別違和を理由とする東大での通称名使用についてです。

トランスジェンダーがぶつかる壁の一つに名前の問題があります。
名前で男性なのか女性なのか判断できてしまいますからね。(「ゆうき」みたいな性別を限定しない名前もありますが。)
僕の戸籍名もはっきり性別が限定される名前なので、大嫌いです。というか、自分の名前として相応しくない。

という訳で学籍の名前を変えました。さらに、学部と交渉して性自認の性で扱ってもらうようにしました(学籍の性別は変えることが不可能)。現状これでかなり生きやすい。
以下、東大の通称名使用制度について詳しく書いていきます~

通称名使用制度 in 東京大学

これから書くことの一部は、TOPIAで発行した「できることガイド in 東京大学」にも載っています。実際、通称名を使用したい方はそちらも是非参考にしてください。
topiaut.wordpress.com


今回は僕のブログで書くので、気楽に書きます~
(できることガイドの原文、僕の表現が当たり強すぎたり口語すぎて直してもらったりしてます・・・笑)

プロセス

1.教務課に申し出る
僕は直接言いに行く勇気がなかったのでキャンパス内の人影のないところから電話で事情を説明しました。一通り説明したあと、直接教務に乗り込みました。


2.教務の中にある部屋に通される
「あの~、先ほど名前の件で電話した者ですが」みたいな感じで窓口に行くと、普段学生は入れない秘密の部屋に通されました。
窓口で立ち話にならなくて良かった。


3.偉い人が出てくる
部屋には教務の偉い人3人がいて、僕の現状を聞かれたり、通称名使用制度についての説明をしてくれたりします。
僕は「性同一性障害を理由に名前を変えたい」とだけ言ったんで、戸籍の名前がすでに変わっているかどうか確認されました。
(戸籍の名前が変わっている場合は出す書類が違ってきます)


4.必要書類について
必要書類は
通称名使用申請書
・医師による性別違和の診断書2通(2通目はセカンドオピニオンとして)
・保護者の同意書

全部で4つです。


通称名使用申請書
自分の所属や戸籍の名前、これから使いたい通称名を書く書類。まあわかる。


・医師による性別違和の診断書2通(2通目はセカンドオピニオンとして)
医師の診断書は諸々お金や時間がかかる。僕はこのときすでに半年以上精神科へ通院していたので問題なかった。1通は。
でも1通発行してもらうにも5000円かかった。出費が痛い。そもそも半年の通院自体にお金がかかってたし。

そしてもう1通どうすんだよ、ってなった。
しかし、実はこれ東大の保健センターの精神科でも出してもらえる
こちらは1回行くだけで済んだので、大してお金もかからなかったが、いかんせん予約がとれない。
保健センターの精神科を舐めていた。需要がえげつない。
そして1回で済むと書いたが、その1回がやたらと長い。誤診を避けるため仕方が無いが、2時間以上かかった。


・保護者の同意書
諸悪の根源。これは大変だった。
まず、フォーマットがない。
「自分で作ってください」って言われた。
「同意書 作り方」とグーグル先生に聞いて作った。そんなことある?
退学届けにも保護者の同意書が必要って聞いたことあるが、退学するときも自分でつくるのだろうか。退学したことないからわからん。

TOPIAのホームページにはできることガイドのページにフォーマットを載せておいた。
実際に僕が使ったやつを個人情報を消してアップロードしたものなので、間違いなく有効です笑。

フォーマットどうこうより何より、性別移行について保護者の同意って厳しい。
何がひどいって、成人していても請求してきやがる。
成人していたら法律上は保護者いないだろ!
この紙ペラ一枚のために我が家は大戦争を繰り広げる羽目になった。まあ、勝ったけど。


以上4つの書類を提出して通称名使用申請は完了である。

その後、所属する学部の教授会を通して(教授会って何だ?)、学部長の許可が下りればめでたく通称名が使えることになる。
ここでまたくせ者なのが教授会とやらで、これは長期休みに入ると開催されない恐れがある。
新学期から名前変えよう、とか思っていると予定が狂う。
平時でも教授会はそう頻繁にあるものでもないと思うので、運が悪いと1ヶ月くらいかかってしまうかもしれない。
(実際、僕は1ヶ月くらいかかった。)


許可が下りると教務課から電話がかかってきて、もう一度教務課に来るように言われる。
最後に「もう前の名前に戻すことはできませんよ」と言われ、通称名使用する意志をもう一度確認される。
自筆のサインをもってその意志を示す必要がある。

こうして何かと面倒な通称名使用許可申請は終わりである。しんど。
まあでも、ここまでやれば念願の通称名学生証が手に入る。

注意点としては、図書館だ。
図書館に入るには学生証を図書館のカウンターで登録し直す必要があるのだ。

僕「学生証変わったんで登録し直してほしいのですが」
図書館の方「紛失再発行ですか?」
僕「そうですね(違うけどいけるやろ)」
図「わかりました、少々お待ちください・・・(パソコンを見る)・・・あっ、名前が(察し)・・・
僕「」

気まずかった。

図書館には学生のデータがあるようだ。まあ確認した方がいいもんな。
これはちょっと不意打ちだったので心にきた。

でも説明を求められなくて良かった。
あんまり口に出して説明したくない。

図書館の話はできることガイドを作ったときに入れ忘れたんで、次のアップデートで入れねば。